書いては書き直し

はてなダイアリーから引っ越してきましたがまだ整理中です

「よくわかる五輪ロゴ類似問題」で何がわかるか

五輪ロゴをめぐる問題もそろそろ沈静化してきたこの頃になって、下のような記事がネットで話題になったようです。
「よくわかる、なぜ「五輪とリエージュのロゴは似てない」と考えるデザイナーが多いのか?」
http://bylines.news.yahoo.co.jp/takayukifukatsu/20150907-00049112/
デザイナーたちはなぜ、佐野研二郎デザインの五輪ロゴとリエージュ劇場のロゴを「似てない」と判断したのかということを、「デザインとは何か」というところから丁寧な語り口で解説したもので、twitterを見る限り、多くの人から「すごい、本当によくわかった!」の嵐です。


ただこれ、一見論理的に書かれてるんですけど、じゃあなんでリエージュ劇場のロゴデザイナーは訴えを起こしたのかって考え出すと、すべてが怪しくなってくるんですよね。
われわれは、「2つは似ていない」とする論理がベルギーのデザイナーに通じてないのを現実に目の当たりにしているわけであり、五輪組織委が「似てない」という論理を押し通すことができなかったのもすでに知っている。
つまり、ここに書かれた論理が通用するのは「日本のデザイナー」の間だけのようだ。そうであれば、最初の「そもそもデザインとは」の部分も一体どこまで共有されているのやら。非デザイナーの一般人には知る由もありません。どうやって説得されればいいというんだ。


……と私は思ったのですが、これを読んでスッキリしている人がたくさんいるのもまた現実。
この文章でなぜみんなスッキリしたのだろうか。スッキリすることと、事態を把握・理解することの関係は何だろうか。どの程度筋道が作り込まれていると、人は「論理的」「説得的」と感じるのか。議論の前提に穴があっても見た目筋が通っていると人は説得されるようだが、どの程度の穴なら大丈夫なのか。あるいはこの論考が出されたタイミングも重要かもしれない。みんながいい加減五輪ロゴをめぐる話に辟易していて、いい話が聞きたいと思っていたところに出された見解だったということも関係あるか…。
ものすごく興味深いです。この論考はむしろそっちについて考えるのが面白く、感想やコメントを読みふけって夜も寝られませんでした。FBコメントは多分全部読んだ。
気が済んだのでもう寝よう。