ウェブ上の「近代化遺産」
子どものときに民話の本でよく目にした「人柱」という習俗は、実際に行われことだったのか…というのが突然気になって、ウェブ上をぶらぶらしていたら「常紋トンネル」の話に遭遇。そこから北海道開拓時代のタコ労働に関するすごい文章に出会い、しばらく読みふけりました。
北の大地のトンネルにまつわる怪談話の語り出しは、まことに逸品。
・「北辺に斃れたタコ労働者」
http://www.h2.dion.ne.jp/~cha2/essay/kaitaku/main.htm
著者の郷土史家・小池喜孝氏には写真の著作(1991年に文庫化)がありますが、それがこのサイトの文章と同じものかは不明。
- 作者: 小池喜孝
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 1977/06
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http://www.city.kitami.lg.jp/docs/2529/
日本が近代という暴走列車に飛び乗っていく過程で、省みられることなく振り落とされ轢き倒されていった人々を甦らせた、執念のフィールド調査の記録。
1970年代に証言者たちが急速に消えていき、筆者が焦りを感じる描写がありますが、日本の大きな転換点がまさにその時期だったということと考え合わせると感慨深いものがあります。
日本近代の幕開けというテーマでは、下のページもすごい読み応え。
・「むしの無視できない虫の話 日本住血吸虫症撲滅の記録」
http://www3.wind.ne.jp/toccha/mushi/mushi_link/mushi_10.html
山梨県の「地方病」=日本住血吸虫症の解明と撲滅までの熱いドラマ。
全国的な医学論文誌ができることによって、各地に見られる「風土病」がおなじものであると確認されていく過程などは、そんじょそこらの漫画や小説では太刀打ちできない面白さです。
医学は何よりも近代科学の申し子であり、輝く象徴なのだということを痛感させられます。
日本近代医学勃興期のエネルギーは圧倒的。成立と同時に同時にグローバル競争に参入してたりとか、もう…
それにしても明治の医者たちの英雄的(「野蛮」のニュアンスを若干こめて)行為は今ではほんとありえないです。いやあ後期近代生まれでよかったほんとに。
ところでこの話は病気の解明に関わった医師たちの活躍で締められますが、日本住血吸虫症の話にはまだまだ後があり、1990年になって筑後川で中間宿主が完全駆除された際、下のような「供養碑」が建てられる。
・宮入貝供養碑
http://hi.mymy.jp/chikugohi/miyairi.html
自然を完全に制御することに畏れを感じる、日本人ならではの感性とみるべきでしょうか。それとも、近代がどうとか言っても人間はこういうもんだということで落とすべきか…
著者の永倉真一氏は東海大学の寄生虫学の先生だそうですが、日本住血吸虫症に関する一般向け著作はないようです。
http://www3.wind.ne.jp/toccha/mushi/musi-1.htm
でも他の本がいろいろあるようなので、機会があれば読んでみたい。
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- 作者: 宮入慶之助記念誌編纂委員会
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- 作者: 小林照幸
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