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「子どもの虫歯菌感染予防」の行方

子どもを持っている私の知人の中には、虫歯菌の感染を防ぐために、自分の子が他人と食器を共用しないよう気を配っている人がちらほらいます。
実行するかどうかはともかく、こうした「子どもの虫歯菌感染予防」の考え方は、かなり多くの人の耳に入っていると思います。
ところが、下の多くの歯科医師の回答が集まるサイトを見ると、これにはかなりの賛否両論があるようです。
http://www2.ha-channel-88.com/soudann/soudann-00027598.html
http://www2.ha-channel-88.com/soudann/soudann-00039965.html
http://www.h2.dion.ne.jp/~okamoto/sub23.htm
一方では、口内環境の整っていない人からの口移しや食器共有を控えることは、大量の菌への暴露を防ぐという点で意味があるとの主張。他方は、このような一種の常在菌と一切付き合わないでいるのは社会生活をしていれば現実的に不可能、通常のデンタルケアをするほうが大切ということです。
歯学的にどちらが正しいかは、例によって判断できないのですが、私は別の点で後者に理があるように思えます。
どんなものであれ、「感染予防」の取り組みは社会生活の規制に直結するものですが、虫歯菌感染予防言説はその上食生活をも規制する。「良いこと」に真面目に取り組むタイプの人を、生活に障害が出る状況に追いこむ危険が高すぎると思います。
下は、実際にそうなった方々の苦労と疑問。
http://okwave.jp/qa/q7682835.html
http://www2.ha-channel-88.com/soudann/soudann-00032944.html


ネットでは、多くの専門家や行政が母子感染予防を呼びかけているように見える状態です。
とある歯科医院さんのサイト。
http://fukurou-ash.com/mother.html
http://www.oyama8211.com/article/13940623.html
http://mahirodental.com/service/preventive/minus.php
http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-132.htm
同内容のメディア記事。
http://www.47news.jp/feature/medical/news/0712mushiba.html
とある歯科衛生士さんのサイト。
http://plaza.rakuten.co.jp/yokubarimama/4002/
スウェーデンの研究の引用、一種の三歳児神話(三歳までに感染しなければその後虫歯になりにくい)、強い「キシリトール推し」、と共通点が多いのは、情報源が一緒なのでは。
下のは市町村の保健課の啓発活動の記録。このほかにも、保健師さんから聞いた、母子手帳にあった、母親学級で聞いたという話が掲示板上にあります。
http://rhino.med.yamanashi.ac.jp/sukoyaka/pdf/select100/wakayama3.pdf
こういう場で「外部の毒から母の力で無垢の子どもを防衛するべし」みたいなエンカレッジのされ方をしてたりしたら厄介なことになりやすいでしょう。
「できる範囲で暴露を減らしといたら有利になるよ」ぐらいに受け取られていればよいのですが…それでも場合によっちゃ社会生活の中で要らぬストレスを生みかねないですが。「お姑さんが××!」とか「意識の低いママ友が▲▲!」とか。


一方で、感染予防言説が広く受け入れられたということには、それなりの意味があるとも思います。
下の掲示板では否定派と実践派がそれぞれ持論を展開しております。
http://kosodatech.blog133.fc2.com/blog-entry-88.html
最後の方で実践派の方が、「効果は微妙であったとしても、親自身ができることがあるというのが大事なんだ」と言っておられます。
多くの代替療法でみられるのと同じかたちの言説が見られるのが興味深いです。自分や家族の心身について、「自分にとれる手だてがある」という実感が、いかに切実に求められているかということです。
問題は、それが社会生活を困難にしやすいものであることに、それなりに配慮がいるだろうということなのですが…